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入れ歯

入れ歯とは

入れ歯とは、歯の無いところを補う、取り外しタイプの人工物です。
入れ歯は大きく分けて、総入れ歯と部分入れ歯に分けられます。

入れ歯自体は慣れてしまえば、違和感も無くなり、咬む力を補って、見た目の改善や発音を助けてくれます。
また、作る上で、ブリッジのように健全な歯を削って他の歯にダメージを与えることもありません。

入れ歯を入れる目的

入れ歯を入れる目的は、失われた機能の回復と口の中を安定した状態に保つことにあります。
歯が無くなると咬みにくくなりますが、特に奥歯を何本か失うと、かなり咬む力が落ちます。その結果、食べ物を細かくできないまま胃に送ることになり、胃腸などの内臓に負担をかけることになります。
入れ歯は咬む力を補い、食べ物をうまく消化できるように助ける役割があります。また、前歯が無くなると見た目が悪くなると共に、上手に発音ができなくなります。入れ歯は見た目の改善や、発音を助ける役割も、になっているのです。

入れ歯の利点と欠点

現在、インプラント治療はかなり普及しましたが、超高齢化社会を向かえて、今後も入れ歯の需要は増えていくものと考えられます。どちらの治療方法にも、利点・欠点があるため、その比較が必要となります。重要なことは自分にあった治療方法を選択することです。下記に入れ歯の利点と欠点を挙げてみましたのでご参考になさって下さい。

利 点

利点1 取り外しができる
入れ歯の最大の利点は、取り外しができることです。そのため、将来的な口腔内の環境の変化に合わせて対応が可能です。(インプラントは取り外しができませんので、トラブルの時に対応が困難になります。)

利点2 手術を必要としない
インプラントと比較した場合、これが大きな利点として挙げられると思います。
高齢者の場合、全身疾患を抱える可能性が高くなり、手術ができない患者さんも多くなります。

利点3 費用が安い
入れ歯の場合は、保険外診療でも、インプラントに比べると安価で済みます。現在のインプラント1本の値段は、平均30~50万円ですから、複数本埋入すると経済的な負担は相当大きいものとなってしまいます。

利点4 掃除が簡単
入れ歯は取り外せますから、簡単にお手入れすることが可能ですが、インプラントはプラークコントロールが極めて難しくメインテナンスが大変です。

利点5 歯をほとんど削らない
部分入れ歯の場合は、ブリッジと違い、自分の歯をほとんど削りません。インプラントも全く歯を削らないで済むという点では同じですが、実際には外科的に顎の骨を削っているので、侵襲はよほど大きいと言えます。ただし、中間欠損の場合は、インプラントが第1選択となるでしょう。

利点6 治療期間が短い
問題がない患者さんの入れ歯の治療は、約2~3ヶ月の治療期間で終了するのに対し、インプラントの場合は、最低でも4ヶ月程度必要となります。

欠 点

欠点1 慣れるまで異物感がある
入れ歯は、人工物になりますので、慣れるまで時間がかかる時があります。また、現在使用している入れ歯から新しい入れ歯を正しい咬み合わせの位置で製作しても、初めから違和感無く使用するのは難しい場合があります。

欠点2 見た目が悪い
部分入れ歯の場合、金属(バネ)を自分の歯にかけなくてはなりませんので、ケースによっては見た目が悪くなることがあります。

欠点3 歯に負担がかかる
部分入れ歯の場合、金属(バネ)を自分の歯にかけなくてはなりませんので、その歯に負担がかかります。
不適切な設計の部分入れ歯は入れることによって、バネをかけた歯に負担がかかり、歯を失う原因を増やすことになりますが、適切に設計されたものであれば、そのような危険性は激減します。

当クリニックの入れ歯について

当クリニックでは、残っている自分の歯を守りながら、違和感なくしっかり咬めるように、入れ歯の治療は主に精密加工義歯を用いて行っています。
精密加工義歯は、金属を鋳造して作るため、高い適合精度と強度があり、薄く小さくしてもしっかりと咬める、違和感の少ない入れ歯です。
部分入れ歯の場合、入れ歯の着脱時や咬んだときに、バネをかけている歯が揺すられてしまい大きな負担を受けてしまいますが、しっかりと構造設計された、たわまない強固な精密加工義歯では、そのような横揺れの力を最小限に抑えることが可能となり、支えの歯を固定して守ってくれるのです。
このような入れ歯治療を行うためには、まずは入れ歯のしっかりとした設計をすること、そしてそれに基づいて適切な材料を選択した上で、入れ歯を作る歯科医師・技工士の高度な技術が必要となります。

精密加工義歯

精密加工義歯は金属を鋳造して作るため強度があり薄く小さくしても安定した咀嚼機能を確保でき、食物の熱さや冷たさも感じることができます。

ドクターとの打ち合わせものと歯科技工士が熟練の技術、それに伴う材料・工程管理により高精度の義歯を製作します。
バネを透明な樹脂にすることなどの審美性を考慮したデザインを選ぶことができます。

義歯の断面図
プラスチック入れ歯の2.0ミリに比べ、最薄0.4ミリの厚みで口腔内に高い精度で適合することにより、舌や粘膜に感じる違和感がなく発音や嚥下に影響を与えにくいです。

バネのかかる歯に特殊な構造を与えた被せ物を装着することによりさらに義歯が動きにくく装着間が向上します。
炎症を起こしやすい歯周組織に影響の無い設計をすることにより自浄性が良く清潔に保てるため、歯周病も予防することができます。

使用金属の紹介

コバルト・クロム
強度に優れ一般的に多く用いられる素材です。
金合金やチタンに比べると経済的です。

金合金
金は腐食や変色が起こりにくく、金色のためお口の中で目立ちにくい素材です。
最高の適合精度がだせます。。

チタン
生体親和性に優れたチタンは金属アレルギーに対して有効です。
また、比重が金の1/4と軽いのも大きな利点です。

入れ歯の種類

失った歯を再現して、咬める幸せを味わっていただくために、当クリニックでは患者さんに合った創意工夫を施しながら治療を進めています。本項で紹介している入れ歯は、ほんの一例です。入れ歯でお悩みの方はあきらめずにお気軽にご相談ください。

レジン床義歯(保険適用です)
プラスチックの樹脂と簡単な針金を使っているため、たわみやすく、咬んだときに歯に負担がかかりやすいなど、あまり望ましい構造ではありません。
また、強度不足を補うために、入れ歯は大きく厚くなります。しかし痛い、咬めない、不適合な入れ歯というわけではありません。

金属床義歯
義歯の骨格を金属で作っているため、たわみがなく、耐久性に優れているため、快適な状態で長くお使い頂ける入れ歯です。

(特徴)
・強度がプラスチックに比べて優れているので薄くできる。
・違和感が少なく、舌触りも良好。
・発音機能にも良い影響を与える。
・熱感に優れ、味覚に満足感を与える。
・適合性が良好である。

コーヌス義歯
歯に内冠という被せ物をつけ、入れ歯に外冠をつけその適合力で支えます。例えると、お茶を入れる茶筒のふたが簡単に開かないのと同じ原理です。

(特徴)
・バネで固定する場合より、しっかりと固定されるので、入れ歯が動かない。
・バネが無いため、審美性に優れる。
・入れ歯全体を小さくする事が可能となり違和感が少ない。
・側方力が小さくなるので、支えの歯の負担が軽くなる。

マグネット義歯
磁石を利用した入れ歯です。残っている歯の状態があまりよくない場合や、歯の数が少ない場合に良く用います。

(特徴)
・残存歯に横方向の過度な負担がかかりにくく、歯にやさしい。
・長期間使用しても、維持力が減衰しない。
・着脱が簡単。
・バネが無いので見た目が自然。

アタッチメント義歯
精密な連結装置を用いた入れ歯です。

(特徴)
・ごく小さな装置でも、しっかりと入れ歯を安定させます。
・バネが全く見えないため、審美性に優れる。
・精度が高く、違和感が少ない。

入れ歯と上手く付き合うために

ここでは、入れ歯と上手く付き合って、食事を美味しく食べ、健康を保つ方法についてのコツをお伝えします。

1. 違和感の克服方法
入れ歯はとかく違和感のあるものです。
初めて入れ歯を入れる方は「何だか、口の中でずっと”あめ”をなめているみたいで、気になってしょうがない」などとおっしゃるいます。確かにあれだけの大きさのものを、髪の毛一本でも感知できるくらい敏感な口の中に入れるわけですから、初めは違和感を感じると思います。しかし、反面入れ歯を入れて食事をし、快適に生活を送っている方が多くいらっしゃるのも事実です。要は根気と慣れです。
ほとんどの人は、努力しだいでちゃんと使えるようになります。
「私は入れ歯に慣れるかしら?」ではなくて「よし、入れ歯に挑戦して慣れるぞ!」という気持ちが必要なのです。

2. 入れ歯は「調整」で決まります
ただ、ここで重要なのは慣れるまでには必ず「調整」が必要だということです。
自分自身の歯に詰め物をしたり、かぶせ物をしたりする時は出来上がりの日が完成の日です。でも入れ歯は違います。入れ歯は出来上がってから何度も調整をしてそして本当の完成となります。
なぜなら、詰め物やかぶせ物は固い歯にのせるので、すぐに安定を得られるのに対して、入れ歯はやわらかい粘膜の上にのせます。粘膜は圧力を受けてへこんだり、口を動かすことによって動いたりするので、固い入れ歯が粘膜の上で安定することは難しいのです。
例えば、靴屋さんでピッタリだと思っても、実際に歩くと新しい靴は靴ずれを起こしますよね。入れ歯も入れてから咬み合わせの圧力を受けると、粘膜に圧迫が起こります。その部分を入れ歯が当たらないように調整することが必要なのです。

そのため入れ歯を入れた日はまだ本物ではありません。
調整を繰り返すことによって調子が良くなるので、入れた日は一番調子が悪いということです。だから「今日は入れ歯が入るのでうれしいから、今夜はステーキだ!」なんて言うことはうまくいかないのです。このことを知らないと、入れ歯を入れた日は調子が悪いので、その入れ歯の本当の実力が出る前に入れ歯がダメだと悪い評価を下してしまう事になります。

3. 食事の時に注意すること
入れ歯は、無くなった歯の咬む力を補う道具ですが、100%回復してくれるわけではありませんので、最初は小さく切った柔らかい物から始めてください。また、出来るだけ両側を均等に使って咬むように心がけましょう。やがて入れ歯を使うことに慣れてくると、食事がいっそう楽しくなってくるはずです。

4. 発音について
発音については多くは慣れの問題です。入れ歯を入れると発音の時、空気のもれる量や、舌や唇の感覚が変わってしまいますので、どうしても聞き取りにくいこもった発音になりがちです。
しかし、入れ歯を入れていながら舞台やテレビで活躍している俳優さんもたくさんいらっしゃる事からお分かりの通り、慣れればキチンと発音できるようになるものです。
一般的には1ヶ月位を目安に考えてください。最初のうちは、口を大きく開け、新聞や雑誌を声に出して読むことを繰り返したりすると、早く慣れる事ができると思います。

5. 寝るときの注意点
患者さんに良く尋ねられるのが、「入れ歯は外して寝るのが良いの?」という事ですが、原則的には靴を脱いでベッドに入るように、お口の中の粘膜も休めてあげた方が良いので外して寝てください。
その時に必ず水中に保管して下さい。
入れ歯はプラスチックで出来ているので水を吸います。
空気中に放置することで乾燥して変形して合わなくなってしまう可能性があるからです。

6. 洗浄するときの注意点
入れ歯の汚れを放置すると口臭の原因になるばかりでなく、粘膜が荒れ、残っている歯の虫歯や歯周病の原因となります。
入れ歯を洗う場合は、水道の水だけで十分です。歯磨き粉などは使用しないでください。研磨剤の入った歯磨き粉などを使用すると、かえって義歯の表面をいためてしまいます。
市販されている入れ歯洗浄剤は、特に毎日使用する必要は感じませんが、入れ歯の臭いが気になる場合などは、必要に応じて使用することはかまいません。それよりもブラシで表面をよくこすることの方が重要だと思います。
また、入れ歯を洗面所で洗う時は、必ず洗面器に水を張ってその上で洗うようにして下さい。
そうすれば誤って入れ歯を落としても割れたりしません。

7. 入れ歯安定剤について
正確に合っていれば通常、安定剤は必要ありません。使用しないで下さい。安定剤を常用しなければならないような入れ歯は、極めて適合が悪いため、歯や歯ぐきを傷めたり、顎の骨の吸収の原因にもなります。もし入れ歯がゆるく感じるなら歯科医に診てもらいましょう。

8. 入れ歯を長持ちさせるには
入れ歯も長く使っていると顎の「どて」の方が少しづつやせてきて、裏がすいてきます。カタカタしたり、はずれやすくなるようでしたら、早めに歯科に来院して下さい。
すいた部分を裏打ちすれば、再び快適に使用できます。
そのままで、無理して合わない入れ歯を使っていると、すれて傷ができたり、入れ歯を止めている歯をゆするので歯をダメにしたりします。また、入れ歯も割れやすくなりますので大体半年に1回位は調整をしてもらうと良いでしょう。
入れ歯はあくまでも代用品です。自分の歯に勝るものはありませんので、どうぞ歯を大切に、入れ歯にならない努力をしていただきたいと思います。

保険診療と自由診療について

○保険診療とは
保険診療は健康保険法に基づき、国民の誰もが平等に医療サービスの恩恵を得られるという、世界的にみても数少ない素晴らしい制度です。提供される医療は、決まった方法、定められた材料が用いられ、保険診療の中では誰もが同じ内容の治療を受けることができます。

○保険診療の限界
歯科医療の分野では、機能性、審美性、耐久性などの向上を目指し、治療方法や使用される材料は常に進化しています。
患者さんの中にも、痛みの除去や機能回復だけではなく、「きれいな口元を」、「よく咬めて違和感が少ないものを」といった声が多くなってきました。
保険診療の良さは、「誰もが一定の医療サービスを受けられる」ことにある反面、保険診療の限界は「誰もが一定の医療サービス以上のものは受けられない」という相反する問題をもっています。
つまり保険制度が歯科医療サービスの選択肢を大きく狭めてしまっていることも事実なのです。

○自由診療とは
自由診療では、保険診療での治療方法や使用材料に関する制限はありません。
保険の制限を取り払い、最適な治療を選ぶことができるのが自由診療です。自由診療で製作する入れ歯は、設計や使用する材料が自由に選択できるため、個々の患者さんのお口の状態に最も適応した入れ歯の製作が可能です。
また、外観の美しさを充分考慮することもできます。
しかし一方で、保険診療の対象外となってしまうため、保険診療と比較すると治療費の患者さん負担は大きくなってしまいます。

○納得のいく診療のために
当クリニックでは、保険診療でも自由診療でも同じように持てる技術を最大限にご提供いたします。
大切なことは、歯に関しての問題点や不満について、またどのような選択肢があるのかを、歯科医師とよく相談しながら、ご自分にあった方法を探していくことであり、満足のいく医療サービスを受ける上でとても重要となります。
患者さんがご自身の価値観と照らし合わせ、ご納得のいく診療を選択できるよう、私たちは喜んでお手伝いさせて頂きます。